2世代ローンを回避する

「うちのマンションは35年のローンなんだからね。定年退職したら払えなくなるから、次はアンタたち子供が払うんだよ!」と、脅されていたのは、今から10年以上前のことだ。
ローンの仕組みなどさっぱりわかっていない「お子様」だったわたしたちは、親に言われるがまま、まるまるその言葉を信じていた。「パパが退職したあとには、ローンを払わなければならない」というのが転じて「うちはローンが払えないらしい」になってしまったのも、子供だったゆえ致し方ないところだろうか。それを、何かの拍子に父親に告げたことがあった。
「うち、ローンが払えなくなるから二世代ローンで続きはわたしが払うんでしょ?残りはどのくらいあるの?」至って大真面目な顔をしていたであろうわたしに、悪ノリしたのか本気だったのか、親も大真面目な顔で銀行が発行しているローンの明細を見せてくれた。
ずらずらと書かれた、吃驚するような金額。10年後、20年後の日付まで入っていて、見ているだけでうんざりしたものだ。「これをきちきち払っていくの? 大変だ……」と茫然としてつぶやいたわたしに、父が笑って言った。
「繰り上げ返済って知ってるか? ある程度お金が貯まったら何回分かまとめて返済してしまえるシステムなんだ。借金の額が減るわけではないが、借金をしている期間が短くて済むんだよ」
こののち我が家はこの「繰越返済」をフル活用して、早めにローンを完済したらしい。遣り繰りした母に、脱帽である。

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